子育ての成功ってなんだ?:自立を目標に育てた経験からわかった『幼少期からやってあげたいこと』

I'm possibleと雲の線で書かれた青空の背景に男性の全身像シルエット

わたしは息子に『自立した人になって欲しい』と思って育ててきました。しかし、ふと考えます。何ができたら自立しているってことになるんでしょう?自分の目標はズレていなかったのか?

改めて『自立とは?』『自立するために幼少期からできることは何?』調べてまとめてみました。

自立の種類は多い

人間の発達を専門に研究している人は『自立』をどう考えているのか?調べたところ、いい表がありました。(1)※表現は元の表からわかりやすく変えています

自立のタイプ 内容
基本的な自立

●介助・介入・支配・監督からの抜け出す(消極的自立)

●自己判断・自己決定・自己統制に基づき、時間的展望を持って主体的に自分自身の力でやる(積極的自立)

身体的な自立 ●産まれてくること・離乳(消極的自立)
一般行動の自立

●歩行・一般的な行動ができる(消極的自立)

●長期的計画に対して自分の能力や役割・リスクを考えた上で、自分から主体的に準備・実行・事後処理まで行える(積極的自立)

生活行動の自立

●食事・睡眠・排泄・服の脱ぎ着など、基本的な生活習慣(消極的自立)

●衣食住など、基本的生活全般の準備・実行・事後処理まで主体的に自分自身の力でやれる(積極的自立)

認知的自立

●自分と他者を別の存在だと認識できる(消極的自立)

●親・教師・社会一般の常識的認識から抜け出す(消極的自立)

●自己のあり方を肯定的に受け入れ、他者や周囲の状況を客観的かつ主体的に認識・理解できる(積極的自立)

情緒的自立

●母親から精神的にも離れていられるようになり、精神的依存の程度が少なくなる(消極的自立)

●親への『気持ち・感情』的な依存から抜け出す(消極的自立)

●他者がそばに居ても居なくても、心の中での交流を保って、自分の感情をコントロールできる。安定した心で居られる。(積極的自立)

価値的自立

●植えつけられた道徳・政治・思想・宗教・人生・性に関する基準から抜け出す(消極的自立)

●個人的・社会的両方の価値観に、自分らしい「正しくあろう」という理想を反映させることができる(積極的自立)

経済的自立

●親からの経済的な独立(消極的自立)

●現状に合ったある程度長期的な計画を持ち、自分の能力や性格・リスクを考えた上で、主体的に自分の生活を続けられるように収入を得ること(積極的自立)

わたし

多っ!
こんなに自立しなきゃいけないの?

わたし(8才)

一言で「自立」といっても、こんなに細かく分けることができるんですね。

判断・決定・統制を自分で

表の最初。基本的な自立の枠の中に『積極的自立』の項目があります。自立の全体をまとめたような部分。ここをもっとわかりやすくしましょう。

自己判断・自己決定・自己統制に基づき、時間的展望を持って主体的に自分自身の力でやること・・・とは
  • 自己判断/『いい?』『ダメ?』『やる?』『やらない?』いろんな選択肢を分析して、より良い方向に向かうよう考えること
  • 自己決定/考えた結果『いつ』『どのくらいの間』『こうしよう』と決めること
  • 自己統制/決めたことを継続する、やり遂げる意思と意欲(モチベーション)が続くよう自分をコントロールすること

確かにこれができたら頼もしい。手前味噌ですが、振り返るとうちの息子はこれを18才の時点で完成していたと思います。

自分の決定には責任も伴います。そのことも全部ひっくるめて『自分が引き受ける』。失敗したりうまくいかなくても、誰かのせいにしない。「これも経験」と飲み込むしかない、と自覚している。

大学受験の失敗とか

わたし(8才)

わたし

浪人とか

悔しい思いもしながら粘り続けてうまくいった時は、さらに自信になります。親は見守るだけ。安心。楽チンです。

自立を促す育て方がある

わたし

こうなるためには
そう育てる

わたし(8才)

自己判断・自己決定・自己統制(コントロール)も練習です。小さい頃から経験させてあげましょう。乳幼児の頃から、選ぶ・決断する経験をたくさん積ませてあげるのです。

ステップ1

選ぶ・決断するは勇気がいる事です。まずは単純な『二者択一』から始めましょう。「どっちの絵本がいい?」「どっちの着る?」「どっち先に食べる?」そんなレベルからです。

どっちを選んでも「いいの選んだね」「それいいね」と一緒に喜んであげると子どものモチベーションも長続きします。

ステップ2

選ぶ・決断する、が楽しめるようになったら。例えば3歳くらいなら『3つの順番決め』もおすすめです。「最初はこれ、2番目はこれ、最後にそれ」と決めてもらうのです。

子どもが楽しめるようなら「どうしてそれがよかったの?」と楽しく理由も聞いてあげます。絶対に「答えなさい」的に詰め寄らないようにしましょう。「〇〇だから」と教えてくれたら「教えてくれてありがとう~」とたくさん喜んであげてくださいね。

決めることが負担になっては逆効果です。『自信と満足』に直結するように工夫してあげてくださいね。

安心して考えることが大事

選ぶ、決めさせてあげる時には絶対『強要されている感』を感じさせてはいけません。賢い子、繊細な子は特に。4〜5歳にもなれば「何か期待されている」「思った通りのことをさせようとしている」と大人の下心にも充分気がつきます。

親に『選ばせたいもの』があって、違う方を選んだ時に「えー、そっちがいいの?」とか「こっちもいいんじゃない?」と、つい言ったり態度に出たりすると、子どもも遠慮する場合があります。繰り返すと発想の自由や素直さを損ないます。

安心していると記憶も鍛えられる

考える。決める。自信を持つ。これらは全部脳の働きです。脳が焦ったり不安を感じている時には『記憶』の働きを鈍らせる仕組みもあります。せっかくの練習が良い経験になりません。

楽しい気分で「選ばせてもらった!」と思えるようにしましょう。

決めた後でぐずっても叱らない

もし「あっちがよかった」と、あとで駄々をこねても叱りません。もし「自分で決めたんでしょ!」と叱ったら「決めるって楽しくない」という経験に変わってしまうからです。「そっか、あっちもいいと思ったんだね~。これもあっちもどっちもいいよね」と後悔と選択した結の両方を認め、一緒に悲しんであげてください。

『何か決めると、後でよくないことが起こる』といった経験にならないよう、本当に気をつけましょう。小さい頃から、いい気分で物事を考えたり決めたりするのが大事です。

参考文献

(1)吉川成司. (2007). 生涯発達における自立と孤立: 愛着理論の視点から. 教育学部論集, (58), 27-44.

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