「いつから?」「つい叩いてしまう」「やり方がわからない」と、しつけについて悩む方多いです。
しつけの考え方、実はとってもシンプル。
過去の子育て相談でも、アドバイスすると「あっ、そういうことなのね!」「気が楽になった」と喜ばれました。
わたし
ここでは、しつけのことを『教育』と呼ぶことにします。
わたし(8才)
この記事には『本物の教育』と『よくない教育』の実例を書きました。
具体例を並べてみればわかります。
きっとこれからは自信を持って、お子さんに本物の教育をしてあげられますよ。
わたし
わたし(8才)
教育(しつけ)は自立を目指す
社会で生きていく力を教育(しつけ)する
教育が必要な理由は『社会で生きていくため』です。
『約束を守れない』『言葉遣いも適切に使えない』では、活躍の場が広がりにくいですね。
『この時代を生きていける人になってもらうため』に教育をします。
教育の内容も時代によって変わるものです。
わたし
わたし(8才)
- 『この時代を生きていける人になってもらうため』にするしつけ=教育
目指すのは自立
教育は、保護者(養育者)が保護される人(子どもなど)にします。
子どもが『本人の意思や行動で生き抜いていけるようになった』時、養育や保護が必要ではなくなります。
教育とは『自立』を目指しているんですね。
- 教育の目標=子どもの自立
自立:判断・決断・実行できること
自立のいろいろ
自立といってもたくさんあります。
①身辺自立(しんぺんじりつ)
②経済的自立
③職業的自立
④職業経済自立
⑤自立生活
⑥社会的自立
わたし(8才)
わたし
自分で自分のことを決められるようになること
未知の問題を『自分で、あるいはだれか適切な人に相談したり力を借りたりして決断、実行できる』力が必要ですね。
『自分で決める』のは大切。
でも、ひとに指示されるがまま「はい」「いいえ」を決めちゃダメです。
自分で決めるにも能力が必要
ただやみくもに『自分で決める』ことを実行しても幸せな自立にはなりません。
・その決定でいいのか『判断する力』。
・判断の結果に基づいて『決める力』。
・決めたことを『周りに伝える力』。(1)
わたし
わたし(8才)
- 自立の種類は多く、そのために必要な力もある
安心させれば自立できる
自立のためにはたくさんの技術や能力が必要だとわかりました。
わたし(8才)
日常生活全てを項目分けして「洗濯しなさい」「将来の仕事を考えなさい」なんて言い聞かせる必要はありません。
究極のポイントを抑えれば『自立』の項目のほとんどがクリアできるんです。
わたし
それは『子どもを安心させること』です。
わたし(8才)
できるだけ小さい時、乳幼児さんの頃から徹底しましょう。
安心するとは、子どもの中に『愛着』を育てるということです。
愛着がしっかり作られれば『考える力』『判断する力』『生活技術の習得』も、本人が楽しみながら力を付けていきます。
- 教育のポイントは『安心させる』こと
- 安心すれば『愛着』がしっかり作られる
教育(しつけ)の具体例
安心させる教育
安心させる教育とは安全に失敗できるよう、見守ることです。
わたし(8才)
安心させる教育例:食事場面
子/スプーンですくって口に入れる
親/「おいしく食べてるね」「じぶんで食べるとおいしいね」
子/スプーンからこぼれる
親/拭いてあげる
わたし(8才)
ポイントは『うまくいったところを気付いてあげる』ってことです。
気づきポイントはたくさんある
- 上手になった
- 早くなった
- ゆっくり集中してできた
- 以前できなかったことができた
- チャレンジした(失敗したとしても)
- オリジナリティがある
- 継続している
他にも気づきポイントはたくさん見つかるでしょう。
- 安全に失敗できるよう見守る
- うまくいった時や努力している姿に共感してあげる
不安にさせる教育
不安にさせる教育例:食事場面
子/スプーンですくって口に入れる
親/黙って見ている
子/スプーンからこぼれる
親/「ほら!またこぼしてる!」「ちゃんと見て食べなさい!」
わたし
子/スプーンですくって口に入れる
親/「おいしく食べてるね」「じぶんで食べるとおいしいね」
子/スプーンからこぼれる
親/拭いてあげる
わたし(8才)
わたし
注意ばかりされると不安
不安にさせる教育の多くでやってしまいがちなのが、失敗した時にやたらと注意すること。
『うまくいった時→何も起こらない』
『うまくいかなかった時→『うまくいかなかったこと』を注意される
わたし
わたし(8才)
子どもは親が大好き…だけど
子どもは親から注目され、声をかけてもらうことが大好き。
でも注目の結果、声をかけてもらう場面のほとんどが「注意される」のは子どものヤル気を削ぎます。
最初から100%上手な技術なんて、何一つないです。
それなのに上達するまでの間、ずっと注意され続けると自信を失います。
わたし(8才)
- 子どもは親の注目と声かけが好き
- できるようになるためには失敗が必要
- 注意されてばかりでは自信を失い不安になる
安心して失敗できれば自信になる
『できるようになる練習は誰にも邪魔されない』という安心が、努力体質を育てます。
何度失敗しても再チャレンジしていいと安心すれば、子どもはどんどん練習を繰り返します。
その結果、できることが増えていくというわけですね。
しかも「楽しいね」「やる気が続くね」という励ましの声かけによって『自分は辛いことも続けられる人間だ』と自信を深めていきます。
めげない。
粘り強い。
意欲のある人になるのも当然ですね。
- 失敗しても大丈夫という安心感が努力体質と意欲を育てる
- 安心感があれば練習し続ける→『できること』が増える
厳しく注意する場面もある
命と大怪我の危険からは守る
車道に飛び出す子どもには、問答無用で「止まれ!」と肩を掴まなくてはいけません。
ジャングルジムで友達を押すのも「ダメ!」「コラァ!」です。
鬼のような顔で注意しましょう。
ギャン泣きするでしょうが、これは厳しく叱る場面です。
叱りっぱなしにしない
叱った後も大事です。
「いのちだいじ!」と抱き締めてあげましょう。
憎いから叱るんじゃない、大事だから叱るんだと必ず伝わります。
叱られた恐怖が大きくても、それだけ『自分や友達の命』が尊いんだと実感できるんです。
厳しく注意する項目は最低限に決める
『命を失う危険がない場合』と『大怪我に至らない』時は「回数を積めばできるようになるし」と腹をくくるのが一番です。
恐怖を感じた時は学べない
恐怖は記憶を邪魔する
細かに注意を繰り返しても、残念ながら子どもの脳には大して記憶に残りません。
(2)
認知的制御はストレスやその人が置かれている環境の影響も受ける(中略)一過性の強い情動性的ストレスにさらされた場合にはワーキングメモリの機能低下は著しい
注意や叱りつけは悪循環を生む
ワーキングメモリとは、判断したり計画を立てる時など日常的に使う『短期記憶』のひとつです。
子どもの脳には、それほどたくさんの記憶を貯めておけません。
特に恐怖や不安を感じていると、その感情に脳の処理量を取られ続けます。
せっかく覚えて欲しくて注意したことも覚えられない『悪循環』です。
日常的な注意や叱りつけで、物事の状況を記憶する余裕を失わせないようにしましょう。
- 命と大怪我の危険からは守る
- 叱りっぱなしにしない
- 厳しく注意する項目は最低限に
- 恐怖を感じた時は学べない
まとめます
- 『この時代を生きていける人になってもらう』教育=しつけ
- 教育の目標=自立
- 教育のポイントは『安心させる』こと
- 失敗しても大丈夫という安心感が努力体質と意欲を育てる
- 安心感があれば練習し続ける→『できること』が増える
- 命と大怪我の危険からは守る
- 厳しく注意する項目は最低限に
- 恐怖を感じた時は学べない
見守ると見張るの違い、イメージできたでしょうか。
ひとつひとつの教育(しつけ)に注目して指導する『見張り』ではなく、安心して「自分でできるようになりたい」行動を練習させてあげる『見守り』がポイントです。
自信を持って、見守り・共感の声かけをしてあげてくださいね。
参考文献
(1)槇 英弘. 自立の概念と構造, 四天王寺大学紀要(46), 85-107, 2008-09.
(2)苧阪直行. 前頭前野とワーキングメモリ, 高次脳機能研究, 32(1), p. 7-14, 2012.