子育てお悩み相談『言うことを聞きません』③→ワーキングメモリが発達するまで無理な理由を解説

青空に浮かんだ白い雲の上で遊ぶクエスチョンマークと子象

親御さんからの相談でよく受ける「言うことを聞きません」というお悩み。

別記事でも書きました。(文末に関連記事置いてます)

今回は『何度言っても言うことを聞かない』というお悩みについて、記憶の仕組みという面から見てみましょう。

子どもたちは、言うことを聞かないんじゃなくて『まだ聞けない』んです。

この記事の最後を読む頃にはきっと「あーそれなら仕方ないね」と、子どもたちの行動を受け入れてあげやすくなるはずです。

短期記憶のひとつ:ワーキングメモリ

記憶に関する脳の仕組みのひとつに『ワーキングメモリ』があります。

「そんな昔のことよく覚えてるね」とか「わたし去年のことすら覚えてないのに、すごいね」なんて、遠い昔の話題で盛り上がることがありますね。こういった昔のことは『長期記憶』の中にしまってあります。

(給食で一番好きだったメニューは?系の話題、わたし好きです)

小学校の教室の机に給食が載っているミニチュアの画像
わかめご飯が好きでした

その他に『短期記憶』というものもある。これは「ほんのちょっとだけ覚えている」もの。

ちょっとだけ覚えておく短期記憶にも種類があります。例えば『何にも使われないですぐ忘れてしまうもの』。

「さっきスーパーですれ違った女性が履いていたスカートの色」→こんな情報、大事に覚えておく必要ないですよね。すぐ忘れてしまっていい短期記憶です。

そのほかに、ちゃんと『使われる短期記憶』もある。それが『ワーキングメモリ』です。

記憶の種類
  • 長期記憶/過去の記憶、覚えているものごと。
  • 短期記憶/ちょっとだけ覚えているもの。すぐ忘れてしまう。
  • ワーキングメモリ/短期記憶の一つ。すぐには忘れない。使われるもの。

考え・判断・行動に関わるワーキングメモリ

(ワーキングメモリでは)情報の組み合わせや操作がなされる(中略)。いろいろな情報を取り出して操作・結合し、決断や行動制御のための行動情報、いわば「答え」を生み出す働きをする ※()内筆者 

(1)

『ワーキングメモリ』って、いかにも賢そうな名前が付いてますね。

ワーキング=働く/メモリ=記憶。記憶のために働いてくれる場所を取り仕切ってる、みたいなイメージ。

近未来的な黒眼鏡をかけたアンドロイド風の女性の顔
ワーキングメモリ(個人的なイメージです)

名前の通り『考えたり判断する働き』もしてくれるのです。頭の中のいろんな情報の中から必要な記憶を持ってきたり。今入ってきた情報もちょっとキープして並べておいたり。便利なテーブルみたいに使える。『脳のメモ帳』と表現されることもあります。

①テーブルの上にいくつもの道具や材料(記憶や情報)を並べる/②全体を見る/③「これだと何を作れるかな」と考える・・・みたいな感じに活躍します。

便利なテーブル(ワーキングメモリ)がなかったら道具も材料(記憶・情報)も置けません。

記憶は一般に、過去に経験したり学習したことの記銘と想起をさすのに対し、ワーキングメモリ(working memory)は未来を志向した記憶であり、行動や認知のプランを考えたり、その実行と関わる記憶を指すことが多い 

(2)

↑引用したここ、わかりやすく言うと↓

記憶/過去の経験や学びを覚えたり思い出したりすること

ワーキングメモリ/未来のことを考えたり決めたりする時に使われる記憶のこと

ワーキングメモリの使い方

『これからどうするか』を決めるときに使う短期記憶、それがワーキングメモリ。

わたし

どんな風に使ってるのかしら?
具体的に知りたい

わたし(8才)

例えば会話の時。「おうちに帰って、手を洗ってから食べようね」

↑こう言われた時、子どもの脳は何を言われたのか①『一瞬記憶』します。それから②『家に帰ること』③『手を洗うこと』。この情報を記憶から取り出してくる。①・②・③をワーキングメモリに広げて、判断します。

「じゃあはやくかえる!」と言うかもしれませんね。こういった瞬間的な会話の記憶・判断だけでなく、暗算するときも数字や繰り上がりをちょっと覚えます。私たちは、日常的にワーキングメモリのお世話になっているのです。

前頭連合野にある

脳のどこで働いてる?

わたし(8才)

ワーキングメモリが活躍する場所はおでこのあたり。『前頭前野/ぜんとう/ぜんや』とか『前頭連合野/ぜんとう/れんごうや』と呼ばれるところです。

脳は、全体が均等に成長発達するわけではありません。働きごとに発達する時期、グンと伸びる時期がある。中でも前頭前野はゆっくり長い時間をかけて発達する場所の一つなのです。

0〜3歳では活躍できないワーキングメモリ

脳の中でも、時間をかけてゆっくり発達する部分にあるワーキングメモリ。だから0〜3歳くらいでは、うまく働かせることができません。「何度言ったらわかるんだ、言われた通りちゃんとしろ!」と叱るのは、持っていない能力を使え!と無理強いするのと同じです。

小さい人たちはまだ、ワーキングメモリの高い性能は発揮できないけど『努力中』なのです。

大人ができること

正常な脳の発達をうながすために、大人ができることがあります。子どもがいつも『安心した気持ち』で過ごせるように気をつけてあげることです。失敗やチャレンジをむやみに叱らないでいれば、より良く発達することにエネルギーを集中できるでしょう。

わたし

脳の可能性すごい
もっとよく知りたいね

わたし(8才)

ワーキングメモリの活躍の仕組みも面白いですよ。改めて書きますね。

参考文献

(1)澤口俊之, 幼児教育と脳, 文春新書, 1999, p. 104

(2)苧阪直行, 前頭前野とワーキングメモリ, 高次脳機能研究(32), p. 7-14, 2012

幼児の腕を掴む母親のモノクロシルエットイラスト子育て相談①:言うことを聞きません 寝そべって本を読む二人の天使の石像子育てお悩み相談『言うことを聞きません』② →何言ってるのかわからないから聞けないんです。〜言葉と意味・理解の仕組み〜

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