魔の2歳児という言葉がありますね。
イヤイヤ期MAXでカンシャクを起こす。
ギャン泣きしてダダをこねる。
確かに『魔の』と言いたいくらい理解不能で、育てる人も辛い時期です。
今回は『魔の2歳児』時代はなぜ来るのか?その仕組みを見てみましょう。
意味がわかれば2歳さんたちの行動も興味深く見えてくるはずです。
どんな時『魔の2歳児』に変身する?
要求が通らないと『魔化』
わたしは定期的にボランティアをやります。
小さい子を連れたママ対象の集まりで託児、というのもその一つ。
よく『魔の2歳児』さんを見かけます。
例えばママが「帰ろう」と言うと「イヤ!」のパターン。
もっと遊びたい、という要求が通らないからカンシャクを起こしているわけです。
![](https://kosodate-method.com/wp-content/uploads/2019/05/tantrum.jpg)
返事代わりの「イヤ!」
日常の声かけでも。
「お外寒いから上着着ようね」「イヤ」
「じゃあカーディガンだけでも着て」「イヤ」
「風邪引くでしょ?!」「イヤ!」
「もういいかげんにして!」「イヤアァァ!!」
最初はただの相づちくらいの「イヤ」だったのが、やりとりしているうちに本気の「イヤ!」に変わることもあります。
尊重されたい期
彼ら彼女らが『魔』に変身するのは
1)自分の要求が通らなかった時
2)何か指示された時
そんな『自分を最優先で尊重してもらえなかった』感を抱いたときのように思います。
子ども自身のことを思って提案したことでも「イヤ!」ですから道理は通りません。
それくらい幼い『自分優先・尊重されたい』時代ということですね。
2歳児に『説明』はムダ
そんな時。帰らなければいけない理由を誠実に説明する方がいます。
2~3分おきに「帰ろう」と声をかけ続け、最後は「置いて帰るからねッ!!」とどなる方もいます。
「もう十分遊んだでしょ!」と。
でも子どもの脳には大人の説明を理解したり、時間を見て「そろそろ充分」と考えたりする能力は無いのです。
あるのは『今』『ここ』『良い・悪い』だけ。
脳が楽しむ仕組み
知らない場所、知らないお友達、知らないおばちゃん(わたし)。
最初は借りてきた猫のようにおとなしい子どもが多いです。
それが30分もすればすっかり慣れて、その場で楽しく遊べるようになります。
そして盛り上がってきたところでママが「帰ろう」。
これは当然モメます。
![](https://kosodate-method.com/wp-content/uploads/2019/05/infant-behavior.jpg)
この状況を『脳の中の働き』で見てみましょう。
脳は用心深い
最初、脳は知らない場所に対して臆病です。
「ここは安全だろうか?」と辺りの様子をチェックします。
おとなしく見えるのはこの時のこと。
これは『命が最優先』である、動物としての本能ですから「大丈夫!」と説得しても無駄です。
チェックにかかる時間は、その子の気質やこれまでの経験によります。
脳は学習好き
「大丈夫そうだ」と分かると、いろんな道具を触ったり引き出しを開けてみたり積極的にその場を冒険し始めます。
ここでお友達と一緒に遊べたり、初めてみるおもちゃがあったりすれば、脳は集中して『今』を『興味が無くなるまで』学習しようとします。
子どもの脳は欲望に忠実
子どもの脳にとって『学習』は「面白くて楽しくてたまらない」こと。
途中で帰ろう(止めよう)は苦しいのです。
しかも、大人の『説明』『都合』『計画』なんてまだまだ理解できない脳のお年頃なのです。
指示されたくない=自我と自尊心
上着を着ないで木枯らしの吹く外に出たら風邪をひく。
イヤイヤ期さんにそんな道理は通じません。
ただただ「~しなさい」という指示に逆らいたい。
今言える唯一の武器「イヤ」を使いたい。
そんなお年頃でもあります。
だって生まれて(ほぼ)2年。
やっと最近『自分』の存在に気付いたんです。
わたし
わたし(8才)
自分を大切にしたい=本能
ひとに自分をコントロールされたくない。自分のことを自分で決めたい。
これは生き物としての本能。
そして素敵な成長でもあります。
わたし
わたし(8才)
イヤ!の使い方にも慣れていない
「イヤ」に深い意味はないことも多いです。
「~をして」など誰かからコントロールされているうちに、だんだん『気に入らない気分』になってくる。
感情が高ぶってきて「イヤァアアアアアアア!」まで行ってしまうこともあるののです。
こうなったら本人も自分に困っているはず。
![](https://kosodate-method.com/wp-content/uploads/2019/05/Seedlings-of-ego.jpg)
2歳児だって『この世を生き抜いていく人間』の第一歩を踏み出しています。
人の言うがままには生きられない。自分への信頼感を持ちたいし、自尊心を満たしたいんです。
ただ、その意思をどう表して良いのか分からなくてパニックになっている。
そんな姿も見えてきますね。
2歳児=イヤイヤ期ではない
魔の2歳児といいますが、もちろん2歳にならなくてもイヤイヤ言い始める子はいます。
『魔の2歳児』とは『2歳レベルに到達した子ども』とも言えるでしょう。
「同じように育てたお兄ちゃんはこんなじゃなかった」と、きょうだいの違いに不思議がる方も多いですね。
同じ家で同じ人に育てられても『全く同じ』にはなりません。
双子でも違う理由は、一緒に暮らしていても『100%完全に同じ体験はできない』から。
イヤイヤ期がいつ始まるかも違う。
イヤイヤの程度も違って当然です。
2歳児はなぜ『イヤイヤ』言うのか
イヤイヤ期の子どもは「イヤ!」以外のボキャブラリーがほとんどない。
だけど、もっと高度な要求ができるレベルにまで心や気持ちは発達している。
例えば『あれが欲しい』『もっと欲しい』『今欲しい』とか。
たった一つの『欲しい』にもバリエーションがあって、要求レベルが高くなっているわけ。
これは本当にすごいこと!
でも、持っていて発声できる言葉が『イヤ』しかない。
・・・トホホでしょう?
地図上を歩き回って魔物や敵と戦うRPGゲームで、即ゲームオーバーするアレです。
わたし
わたし(8才)
子どもって、お気楽に見えるけど結構大変なんです。
「わかってくれない」はとってもストレス
実は大人だってイヤイヤ期を擬似体験できます。
言葉も生活習慣も違う国で暮らすことが『辛さ的に』似ています。
たったひとりで見知らぬ場所に暮らすことになったら。
これは誰にとってもストレスです。
『相手の言っていることがわからない』
『相手の生活習慣がわからない』
『相手に自分の気持ちや要求を伝えられない』
想像するとかなりツライ。
その上『突然誰かから強い発音で叱られる』こともあったりして。
![](https://kosodate-method.com/wp-content/uploads/2019/05/stress.jpg)
わたしだって、いい大人のくせに「うぎゃああああああ!」と泣きながら地団太踏むかもしれません。
イヤイヤ期はめでたい
イヤイヤ期の状況がわかってきたところで朗報です。
イヤイヤ期は『イヤイヤ言う時期』ではなく『イヤイヤ言えるようになってきた時期』なんです。
ご存知の通り、新生児さんはイヤイヤ言わないでしょう?。言わないんじゃなくて、言えないんですもん。
自分の要求はすべて「あーんあーん」と泣くしかない。
要求レベルも単純です。
オムツが気持ち悪い、お腹すいた。
眠い、眠れない。なんだか気分が悪い。
その程度です。
![](https://kosodate-method.com/wp-content/uploads/2019/05/Newborn.jpg)
新生児さんの発達状況を、丁寧に言うとこんな感じ↓
- 「イ」と「ヤ」を続けて発音するための口(くち)の筋肉や呼吸のコントロールができるほど身体が育っていない
- 「これはいい、あれはイヤだ」という感情が芽生えたり、物事を判別することができるレベルに脳が発達していない
- 「イヤ」という発音が否定の意味である、という認識を持てるほど知能が発達していない
『経験値が低い』し『発達し始めたばかり』です。
もちろん新生児さんなりの素晴らしい能力もあるんですけれど。
それに比べて我らが『魔の2歳児』さんは!
やりたいこと・やりたくないこと・欲しいもの・こと・時間(今)・程度(もっと)と、複雑な要求を頭にめぐらせることができるレベルまで発達したんです!
すごいぞー!
つまり『やっとイヤイヤ言えるレベルまで大きくなった』んです!
いい子じゃいい子じゃ。
そこまで育てた親ごさん、あなたもえらい!
本当にえらいえらい!
なんとよく頑張っていることでしょう!
言葉を話せるようになればイヤイヤ期は終わる
『今の要求を伝えたい』
『自分もいっぱしの存在なんだと主張したい』
この気持ちを全部「イヤ!」だけでゴリ押ししようとしているのが『魔の2歳児・イヤイヤ期』の正体です。
気持ちを伝える方法があったり、要求が通らない理由が納得できればイヤイヤ言う必要はありません。
それに言葉を話せ得るようになればたくさんの情報を相手に伝えられるので、自分への満足感も高まります。
つまり言葉が通じるようになれば、イヤイヤ期はちゃんと終わるということ。『魔の2歳児』は成長段階の一つなんですね。
とは言っても早くその段階を終えて欲しいのも親心。
日常の話しかけを丁寧にしたり、絵本を読んであげたりしてみませんか?
言葉を早く理解できるように、手伝ってあげることができます。
話しかけは究極の『魔の2歳児対策』として一番のオススメです。